特集|線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)と、働き方

Record編集長日記 読了 7分

打ち合わせの最中に動くアシスタントを、自分で作った

月に数万円の SaaS を、一個人が60分100円で作れる時代になった。要るのは、美意識と、始める力。

机の上の開いたノートPC。画面に音の波形の線が1本と、その下に短い横線が数本並んでいる。脇にマグカップ
イラスト|編集部(AI生成)
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Peopleこの記事の人

  • 岡田シンペイ

    線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR代表、AIネイティブ・エンジニア。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。

私は、線維筋痛症と慢性疲労症候群(ME/CFS)とともに働いています。この記事では、その中で得た知見や、取り組んでいることを紹介します。

In 3 lines

  • AI に代替されずに残る仕事は何か。ポッドキャストで聞いた中で、印象に残ったのは美意識と始める力だった。
  • 体にハンデがあると、始めるのに要るエネルギーが大きい。それでも仕組み化の先には、AI や人に任せられる状態がある。
  • 打ち合わせの最中に動くアシスタントを自分で作り、今日の3本で回した。60分で約100円。オープンソースで公開する準備をしている。

打ち合わせが3本あった日の夜に、これを話しています。
終わったあとの午後は、かなりの時間をベッドで横になって過ごしました。ヘロヘロでした。

打ち合わせのあとの仕事をどう渡しているかは、別に書きました。

ここでは、その日にもうひとつあったことを書きます。
実は、打ち合わせの最中に動くアシスタントを自分で作っていて、今日の3本で、初めて本番の打ち合わせで回しました。
その話の前に、少し遠回りをします。

美意識と、始める力

「限界突破ライフハック」というポッドキャストがあります。けんすうさんと田中渓さんの番組です。
直近のお便り回で、大学3年のお子さんの仕事選びについて、親御さんからのお便りを読んでいました1。やりたいことをやらせてあげたい気持ちはあるけれど、この AI の時代にどういう仕事を選ぶべきなのかが難しい、という内容だったと思います。

いろんな仕事が AI で代替されていく中で、代替されずに残る仕事は何か。けんすうさんはいくつか挙げていましたが、私の印象に強く残ったのは、美意識と、始める力の2つでした。

美意識は、ビジュアルの話だけではないと思います。哲学や思想も入っている。
それがいいのか悪いのか。自分の価値観と合わせたときに、いいものだと思えるのか。美しくないなら、何をすれば美しくなるのか。
その判断の軸を持っていれば、AI に作業を指示することもできるし、フィードバックを返すこともできます。
無ければ、フィードバックができない。何かを作るとき、始めるときの基準としても足りない。いまいちな指示しかできず、いまいちなものが出来上がってくる。

始める力のほうは、番組では深くは触れられていなかったのですが、私はこう受け取りました。
何でも AI でできるようになるので、もう、やれるかやれないかではなくて、やるかやらないかなんですよね。
やり続ける部分は、AI でだいぶ楽になりました。だから、始める部分がいちばん大事なのだと思います。
やる気だけの話ではなくて、アイディアや使命感も含めてです。

自分の仕組み化も、結局この2つです。どんなアウトプットがいいのかという軸があるから、AI に何をしてほしいのかが決められる。いままでのやり方でいいや、と思っていたら、そもそも仕組みにしようと思わない。

体にハンデがあると、始めるのに要るエネルギーが大きい

体にハンデがあると、何かにポジティブに取り組むことに、ものすごくエネルギーを使います。
ずっと痛みやしんどさの中に日常があるので、新しく何かをやる、日常や仕事のやり方を変える、ということのハードルが高い。

ただ、仕組み化をやり続けた先には、AI に、それから人にも、仕事を任せられる状態が待っています。そうなると、体調がしんどくても、やることを AI か人に任せて進められる。寝ていてもいいし、横になってスマホで音声入力(新しいタブで開きます)をしていてもいい。

手を動かす部分は相当少なくできるので、かけたエネルギーに対するレバレッジが、すごく大きくなったと感じています。
そういう意味で、私のような人間でも、健康な人と同じ土俵に立てる日がある、と思うようになりました。

ただし、始める力そのものが、体調に左右されます。始められない日は、始めません。

打ち合わせの最中も、変えたくなった

ここまでやると、打ち合わせの最中の体験そのものも変えたい、という気持ちが出てきます。

1時間の打ち合わせの中で、聞きこぼしたことはないか。
終わったあとに、これ聞いておけばよかった、これの詳細を詰められていなかったから、また連絡しないといけない。
お互いに勘違いして説明してしまっていた。うろ覚えで「こういうニュースありましたよね」と話していた。
リアルタイムで文字起こし(新しいタブで開きます)をして、会議のアシスタントをしてくれて、場合によってはファクトチェックもしてくれて、
タスクが会議中に見える化されて、担当者と期限がぽんと出てきて、終わったら議事録が出てくる。
そういうシステムがずっと欲しかった。

そういうものは、月に一人あたり数万円を払えば SaaS として使えます。資金力があって開発の体力のある会社が作るものでした。いまは、一個人が作れるようになっています。実際に作ってみました。

月に何万円もかかるものは、個人では使い続けられません。ローカル LLM(新しいタブで開きます) を動かすために高いスペックの PC が要る構成も嫌でした。安くて、クラウドで処理してくれて、性能もいい、というところを狙いました。Gemini の API と、契約している Claude と OpenAI のサブスクリプションを組み合わせた結果、60分の会議でだいたい100円、2時間の会議でも250円くらいで、リアルタイムの文字起こしと要約と、会議のアシスタントが動くようになりました。

今日の3本の会議で、実際に回してみました。
相手の声と自分の声を分けたうえで、いま何の話題について話しているかが出て、
「この話は触れられたけれど、ここは深掘りしたほうがいいのでは」という示唆が出てくる。
相手から質問があったとき、それに全部答えられているかが出ている。
ニュースの話が出てきたら、ボタンを1つ押すと Claude がファクトチェックをしてくれる。
十分に実用的なものができた、という印象です。

経験がなくても、作れるようになっている

こういう、負荷を下げる、かゆいところに手が届くシステムは、コーディングエージェントを使うことで、プログラミングの知識がない人でも作れるようになってきています。

痛みがあって日常につらい場面がある人間にとって、負担を下げるためのシステムを、自分に合った形で実現することが、コーディングエージェントの登場でできるようになっている。そう強く思います。

いま、このシステムをオープンソースで公開する準備をしています。使いたい人がセットアップすれば、同じものが手に入る形です。月額で提供している会社さんからは、なんてものを公開してくれたんだと怒られそうな気もします。安価に使えるシステムではあるのですが、導入の難しさが無いわけではないので、使いたいという方がいればサポートしたいと思っています。

作るところまでは、始められました。次は、手元の外に出すところです。

追記(2026-09-21)
この記事に書いたシステムは、GitHub で公開しました(新しいタブで開きます)(Meeting Copilot・MIT・macOS 専用)。自社の会議のために作って使っているものを、そのまま出したものです。どなたの環境でもそのまま動く形には整えていないので、改造して使ってもらう前提です。既定では、条件を満たす性能のマシンなら、文字起こしも要約も手元で動きます。会議の始めに外へ出してよいかを確認し、OK ならクラウドで処理します。記事では「使いたいという方がいればサポートしたい」と書きましたが、無償の窓口は設けていません。


この記事について

この記事について(稼働・反動・AI の使用・掲載範囲)
読み方これは一人の記録です。同じ病名でも、同じ条件でも、別の結果になります。それでも書くのは、一人ぶんの具体が積み重なることに値打ちがあると考えているからです。体験は書きますが、助言はしません。読み方について(新しいタブで開きます)
執筆にかかった稼働約40分(口述 約20分+公開前の確認と、実機での修正。同じ口述から稼働設計1本も起こしている)
反動あり。ただし記事を書いたことの反動ではない。打ち合わせ3本の反動で、終わったあとの午後はかなりの時間をベッドで横になって過ごした(本人確認 2026-09-15)
AIの使用音声入力の文字起こしと下書き。取捨選択と文責は編集部
掲載範囲家族は登場しません。打ち合わせの相手(取引先)は、社名も内容も書いていません

Sources

この記事が参照した一次情報です。番号は本文中の番号に対応します。参照した日を併記しています。

  1. ポッドキャスト「限界突破ライフハック」(田中渓/けんすう)【お便り回】わが子に「やりたいことをやれ」と言ってはいけない理由(2026-09-14 配信)(新しいタブで開きます)podcasts.apple.com参照 2026-09-15

記事にしない短い記録と、新しい記事のお知らせを、X(@naminoma_jp)に置いています。

Authorこの記事を書いた人

岡田シンペイ

線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR代表、AIネイティブ・エンジニア。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。

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