特集|線維筋痛症・ME/CFS と、働き方

For HR稼働設計 読了 8分

病名ではなく、体調の波の速さで並べてあった

読んだもの:RDワーカーフォーラム2026 の事例パネル

  • なみのま編集部構成
掲示パネルが数枚、間隔をあけて並んでいる線画。手前の1枚には時刻の目盛りだけが引かれている
イラスト|編集部(AI生成)
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In 3 lines

  • 難病とともに働く25人の事例パネルが、主催の手で全文公開されている
  • 分類が病名ではなく、体調の波の速さ(1日・数日・数週間〜年)で切ってある
  • 25人中10人がフルタイム。話が「働けるか」から「どう組むか」へ移っている

2026年7月14日、順天堂大学で「RDワーカーフォーラム2026」がありました。難病とともに働く人を RDワーカー(新しいタブで開きます) と呼び、その働き方を持ち寄る集まりです。主催は難病患者の社会参加を考える研究会(運営=NPO法人両育わーるど)と、一般社団法人 希少疾患治療開発機構。約300名が集まりました。

編集長は当日、会場にいました。ただし講演を通しで聴くことに時間を使ったため、パネル展示はゆっくり見られていません。主催が25人ぶんのパネルを PDF で公開しているので、改めて読みました。個々の方のお名前は出しません。主催が出しているものを人物紹介に作り替えるのは筋が違うためです。

25人ぶんの「1日の流れ」が、そのまま公開されている

1人1ページで、項目がそろっています。業種、勤務形態、勤続年数、疾患名、主な症状、時刻つきの1日の流れ、仕事内容、会社の制度、本人の工夫、職場の工夫、本人のひとこと。

「1日の流れ」が時刻つきで25人ぶん並んでいるのは、なかなか見ません。何時に始めて、どこで休んで、何時に終えるか。「無理のない範囲で」ではなく時刻で書いてある。ここがこの展示のいちばん強いところです。

分類が、病名ではなく波の速さだった

パネルの上には「症状タイプ」という欄があり、体調の波の速さで3つに分けてあります。この分け方は編集部も大変参考にしているところで、用語集(新しいタブで開きます)にも記載をさせていただいています。そのうえで、25人がどう分かれるかまで見えるのは、ここだけです。

事例パネル25人の症状タイプの内訳(編集部がPDFを数えた)
波の速さ人数
1日の中で変動が大きい(日内変動)4人
2〜3日から1週間単位5人
数週間から年単位16人

病名では分けていない。「どのくらいの周期で予定が崩れるか」で分けている。同じ病名でも1日の中で上下する人と数か月かけて動く人では組み方が違い、病名が違っても周期が同じなら打つ手は似ます。雇う側も、聞くべきことが1つに減ります——「どのくらいの周期で崩れますか」。

25人のうち10人がフルタイム

事例パネル25人の勤務形態(重複あり・編集部調べ)
勤務形態人数
フレックス11人
フルタイム10人
リモート9人
時短勤務4人
超短時間勤務(週20時間未満)
「例外の相談」ではなく、制度の名前として書かれている
2人
完全裁量/業務委託/アルバイト/ボランティア各1人

疾患は20種類以上。難病の名前が並びますが、25人のうち10人がフルタイムで働いています。話が「働けるか」から「どう組むか」へ移っている、ということです。

本人の工夫と、職場の工夫が、必ず対で書いてある

各ページの下半分は、左に「本人の工夫」、右に「職場での工夫や調整」。片方だけのページが1枚もありません。本人の側は休憩の取り方・状態を先に伝えること・無理をしない線引き。職場の側はフレックス16件・リモート13件・在宅10件・通院への配慮5件でした。

本人が工夫しても締切と連絡の前提が変わらなければ負荷は残り、会社が制度を作っても使う側が言い出せなければ動きません。配慮のつもりで仕事を減らすこと(新しいタブで開きます)が配慮にならないのと同じです。

講演のほうも、動画で公開されている

この催しはパネル展示だけではありません。企業の側が、自社でやっていることを具体的に話す講演が並び、アーカイブ動画が公開されています。登壇はサイボウズ 青野慶久 代表取締役社長、セールスフォース・ジャパン アクセシビリティオフィス マネージャーの白良幸さん、電通、テクノツール、ゼネラルパートナーズなど。

編集長が当日いちばん印象に残ったのは、サイボウズの青野社長の話でした。そこまで対話するのか、という会社の意志が見えたこと。出発点は離職率の改善で、社員一人ひとりと話を重ね、小さな改善を積み上げた結果、個々の事情と働き方を尊重する形になり、離職率が下げ止まって定着につながった、という順序です。過去の離職率や売上をグラフで出しながら話されました。会社を経営している方、会社で働いている方に見てほしい講演です。

小さな声も集めて、同じ形にそろえる

同じ項目・同じ形のケーススタディがこれだけ並んでいる場所は、ほかにありません。そのうえで、こういう資料に載るのは発信している方や、団体とのつながりがある方に限られがちです。展示に出る、取材を受ける、名前を出す——そこまで届くのは、ごく一部です。

なみのまがやろうとしているのは、その外側にも手を伸ばすことです。名前を出して活動している方はもちろん、匿名の方、小さな声も広く集めます。周りで働いている方・関係者の方の景色も含めて集め、編集部の見解を添えて載せます。ウェブサイトなら低い費用で、続けてやれます。

集めたあとにやることは、この展示と同じ——ばらばらの形を、同じ形にそろえることです。そろっていれば、読む人は目で追って自分に合いそうなやり方を見つけられます。ロールモデルを探しやすくするのが、この場所の役割です。合わなかったこと・やめたことも、同じ重さで載せます。

同じ団体が、記録のアプリも出している

運営の NPO法人両育わーるどは、RDログという記録のツールも出しています。症状の程度と業務の負荷、悪化の要因を記録して見返せます。2026年9月30日まで無料、10月以降も当事者には無償で提供する予定と書かれています。

RDログの画面。左に業務負荷レベルと症状レベルを10段階で自分の言葉で定義する設定欄、右にスマートフォンで症状レベルの推移と業務負荷別の業務時間がグラフで表示されている
負荷と症状の段階を、自分の言葉で決められる引用|NPO法人両育わーるど「RDログ」紹介ページ(新しいタブで開きます)(2026年9月11日 参照)

編集長が実際に登録して使ってみました。入力の負担がよく考えられていて、続けて書けそうな作りです。記録は「続くかどうか」がすべてなので、ここが軽いのは大きい。段階の意味を自分の言葉で決められるのも良いと思いました。

ひとつだけ、編集部の環境では動かなかったことがあります。ウェアラブルの数値を入れたくてHUAWEI WATCH 4 PRO → HUAWEI ヘルスケア → Health Sync → Apple ヘルスケア → Google Healthとつないだのですが、Google Health 側は「連携済み」と出るのに、RDログ側にデータが入りませんでした(2026-09-11 時点)。不具合だとは書きません。経路が5つ挟まっていて、どこで止まっているか切り分けられていないためです。分かったら追記します。

Sources

この記事が参照した一次情報です。本文に書いたのは、編集部が数えた数字と読みだけで、25人それぞれの1日と言葉は下の現物にあります。そちらが本体で、この記事は案内です。

  1. RDワーカー事例パネル(PDF・33ページ)(新しいタブで開きます)
    NPO法人両育わーるど/難病患者の社会参加を考える研究会(参照 2026-09-11)
  2. RDワーカーフォーラム2026 開催報告(新しいタブで開きます)
    NPO法人両育わーるど。登壇者・アーカイブ動画の案内(参照 2026-09-11)
  3. RDログ(新しいタブで開きます)
    NPO法人両育わーるど。本文の図はこのページからの引用(参照 2026-09-11)

この記事について

この記事について(稼働・反動・AI の使用・掲載範囲)
この記事の位置づけ公開されている一次情報(主催が出した事例パネルPDF・開催報告)を読み、編集部が数えて書いたコラム
編集部の立ち位置編集長は2026年7月14日の会場にいましたが、講演を聴くことに時間を使い、パネルは後日 PDF で読みました
引用について本文の引き写しはしていません。数えた数値と編集部の読み、それに図を1点(出所つき)だけ置いています。個々の方のお名前は出していません
執筆にかかった稼働約3時間/公開前の確認 20分
反動PDFをあらためてじっくり読ませていただいたので、少し疲れが出ました。少しずつ、分けて読むことを推奨します
記事のレビュー書いた人とは別に、編集部のもう1名が読んでいます(公開前)。指摘は反映してから出しています
AIの使用PDFからの集計と下書き。取捨選択と文責は編集部
掲載範囲どなたでもお読みいただけます。登場する組織・催しは、いずれも公開されている情報です

Authorこの記事を書いた人

なみのま編集部

WEB制作会社 合同会社LOFIR の2名(編集長と、そのつれあい)と、外部のパートナーで動いています。記事は、書いた人とは別のもう1名が公開前に読んでいます。

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