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- 岡田シンペイ
線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR代表、AIネイティブ・エンジニア。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。
私は、線維筋痛症と慢性疲労症候群(ME/CFS)とともに働いています。この記事では、その中で得た知見や、取り組んでいることを紹介します。
In 3 lines
- 立って働くことも、健康な人と同じ量を歩くことも難しい。ポッドキャストで知った30秒椅子立ち上がりテストは14回で、40代の最下位の区分「劣っている」だった。
- 半分の15秒を過ぎたころにはやめたくなり、終わると測り直せないほど消耗した。その日はぐったりしたが、翌日の反動と言えるほどではなかった。
- 番組で知る前から続けているのは、玄関の前での日光浴と、できるだけ少ない動きで泳ぐプールの二つ。
平日はほぼ在宅で、電動ベッドの上で働いています。
先日、座りすぎを減らして働く「アクティブ・テレワーク」を紹介するポッドキャストを聴き、番組で紹介された脚の筋力のテストを私も測りました。
30秒で椅子から立ち上がれた回数は14回。40代の評価表では、いちばん下の区分でした。
聴いた番組
聴いたのは、ポッドキャスト「聞く健康習慣 Hana博士の体調最高ラジオ」です1。
公衆衛生学者で行動科学者の林英恵さん(Hana博士)が、暮らしに取り入れられる健康の情報を、研究の裏づけとともに届ける番組です。林さんはハーバード大学公衆衛生大学院で博士号を取った研究者です2。聞き手は、ポッドキャスト制作会社 FUBI 代表の西山直也さんが務めています。
私が聴いたのは「在宅勤務で脚が10歳老化!?」という回です1。
ゲストは甲斐裕子さん。明治安田厚生事業団 体力医学研究所の副所長・上席研究員で、博士(人間環境学)。運動疫学と産業保健が専門で、スポーツ庁のスポーツ審議会 健康スポーツ部会の委員も務めています3。テレワークと健康について、厚生労働省の研究費を受けた研究班の代表でもあります4。
番組の話は、テレワークの健康上の課題は「活動量の不足」と「コミュニケーションの不足」の二つで、そこを補えば良い面も大きい、というものでした。
研究班は、そのための対策を『アクティブ・テレワークのすすめ』という実践ガイドにまとめています4。自宅の環境を整える、体を動かす、腰痛の対策をする、食事に気をつける、コミュニケーションを増やす、の5つです。
気になった3つの数字
私が気になったのは、立ち上がりの回数、歩数、そして照明の明るさです。
立ち上がり ある会社のオフィスワーカー93人を調べた研究で、30秒で椅子から立ち上がれた回数は、テレワークをしない人が平均30.0回、週4日以上テレワークをする人が25.7回でした。研究班は、この差を「約10歳分の体力差に相当すると考えられる」としています5。
歩数 在宅勤務が週5日以上、つまりほぼフルリモートの人は、毎日出社する人より1日の歩数が約4,000歩少なく(3,194歩と7,215歩)、座っている時間は約70分長かったそうです6。
照明 在宅で働く人179人の机の明るさを測ると、85.5%が推奨される300ルクスに届いていませんでした7。番組では「測ると改善する人が多い」という話もありました。
私も測った。14回だった
30秒椅子立ち上がりテストは、アメリカで高齢者の脚の筋力を測るために作られた方法で、日本では中谷敏昭さんらが評価の基準をつくりました89。
肘掛けのない椅子の少し前寄りに座り、足を肩幅くらいに開いて、両腕を胸の前で組みます。そこから膝が伸びきるまで立ち上がって、また座る。これを30秒のあいだに何回くり返せるかを数えます10。

やり方の写真と評価表は、日本健康運動研究所のページに載っています。
私がやった結果は14回でした。
評価表では、40代の「劣っている」は男性が19回以下、女性が16回以下です10。どちらで見ても、5段階のいちばん下に入ります。
| 年齢(歳) | 優れている | やや優れている | ふつう | やや劣っている | 劣っている |
|---|---|---|---|---|---|
| 20〜29 | 38以上 | 37〜33 | 32〜28 | 27〜23 | 22以下 |
| 30〜39 | 37以上 | 36〜31 | 30〜26 | 25〜21 | 20以下 |
| 40〜49 | 36以上 | 35〜30 | 29〜25 | 24〜20 | 19以下 |
| 50〜59 | 32以上 | 31〜28 | 27〜22 | 21〜18 | 17以下 |
| 60〜64 | 32以上 | 31〜26 | 25〜20 | 19〜14 | 13以下 |
| 65〜69 | 26以上 | 25〜22 | 21〜18 | 17〜14 | 13以下 |
| 70〜74 | 25以上 | 24〜21 | 20〜16 | 15〜12 | 11以下 |
| 75〜79 | 22以上 | 21〜18 | 17〜15 | 14〜11 | 10以下 |
| 80〜 | 20以上 | 19〜17 | 16〜14 | 13〜10 | 9以下 |
| 年齢(歳) | 優れている | やや優れている | ふつう | やや劣っている | 劣っている |
|---|---|---|---|---|---|
| 20〜29 | 35以上 | 34〜29 | 28〜23 | 22〜18 | 17以下 |
| 30〜39 | 34以上 | 33〜29 | 28〜24 | 23〜18 | 17以下 |
| 40〜49 | 34以上 | 33〜28 | 27〜23 | 22〜17 | 16以下 |
| 50〜59 | 30以上 | 29〜25 | 24〜20 | 19〜16 | 15以下 |
| 60〜64 | 29以上 | 28〜24 | 23〜19 | 18〜14 | 13以下 |
| 65〜69 | 27以上 | 26〜22 | 21〜17 | 16〜12 | 11以下 |
| 70〜74 | 24以上 | 23〜20 | 19〜15 | 14〜10 | 9以下 |
| 75〜79 | 22以上 | 21〜18 | 17〜13 | 12〜9 | 8以下 |
| 80〜 | 20以上 | 19〜17 | 16〜13 | 12〜9 | 8以下 |
出典:日本健康運動研究所「[脚筋力]チェック・・・イス座り立ちテスト」の評価表を、編集部が表に書き起こしました。同ページは、天理大学 中谷敏昭研究室より引用と記載しています10。太字は40代の行です。
測ったのは、体調がふつうの日です。少なくとも、やってみようと思えるくらいには調子がよかった。
それでも、半分の15秒を過ぎたあたりで、もうやめたくなりました。ペースが落ち、膝がつらく、ふくらはぎから下もつらい。息も上がりました。
終わったころにはかなり消耗していて、測り直すのは無理でした。1回やって、いっぱいいっぱいです。私がまたやるなら、余裕のある日を選びます。
終わってからしばらくは、ぐったりしていました。翌日の反動と言えるほどのものは、感じませんでした。
番組の前から、続けていること
順番を書いておくと、私はこの番組を聴いて動き始めたわけではありません。
病気の症状で、立って働くことも、長く歩くことも難しい。それでも、何かしら体を動かしたほうがいいと思って、前から二つのことを続けています。
朝、玄関の前で日光を浴びる
晴れた日は、玄関から出て、家の前で10分から15分ほど日光を浴びます。雨の日は窓際です。
玄関には、キャンプ用の小さな折りたたみ椅子を置いています。軽くて、ぎりぎり座れるくらいの大きさのものです。それを持って外に出て、座ってスマホでニュースを見ます。
どうせ体がしんどい日は、ベッドで横になってスマホを見ています。その時間を、外でやることに置き換えているだけです。
調子のいい日は立って、腕や肩、首を回す程度の軽いストレッチをします。本当はそれが理想なのだと思いますが、しんどい日も、椅子を持って出て15分座って戻ることはよくあります。
プールで、できるだけ少ない動きで泳ぐ
夕方から夜に、週に2、3日、ジムのプールで30分ほど泳いでいます。
クロールで足をばたばたさせたり、何本も続けて泳いだりはしません。
泳ぎ方は「1ストローク2ビート」です。左右の腕で1回ずつかくあいだに、2回キックします。腕の力と、水しぶきが上がらない程度の小さなキックで進みます。力の配分は、手が8、足が2くらいです。
速く泳ぐ必要はまったくないので、25mを6〜10ストローク以内で泳ぐことを意識しています。
泳ぎ終えたらターンはせず、プールの端で息と心拍が落ち着くのを待ってから、また反対側へ25m戻ります。
平泳ぎや、足を何度もけるふつうのクロールは、私にはただ苦しいだけでした。楽に泳ぐことだけを徹底しています。
プールで痛みを意識の外に置いている話は、編集長日記に書きました。
泳ぎ始める前は、水中ウォーキングをしていました。散歩がきつかったので、市民プールやジムにある、手すりのついた歩行用のコースを使っていました。
腰を落として、腕を回しながら、水の抵抗を使って歩きます。膝にも腰にも負担が少なく、私には陸を歩くよりずっと楽でした。そこから少しずつ体を動かして、いまの泳ぎ方にたどり着いています。
運動についてこれは編集長ひとりの記録で、おすすめではありません。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)では、動いたその日の夜から翌日、ときに数日遅れて悪化することがあります(PEM(労作後倦怠感)(新しいタブで開きます))。運動量を決まった割合で増やしていく方法(GET(段階的運動療法)(新しいタブで開きます))は、2021年の NICE ガイドライン NG206 で推奨から外れました。同じガイドラインは、健康な人向けの運動プログラムを ME/CFS の人に勧めないことも求めています11。体を動かすかどうかは、必ず主治医とご相談ください。
後編では、番組が紹介した実践ガイドに自分の生活を照らして、当てはまらないところと、それでも取り入れられることを書きます。
この記事について
| 読み方 | これは一人の記録です。同じ病名でも、同じ条件でも、別の結果になります。それでも書くのは、一人ぶんの具体が積み重なることに値打ちがあると考えているからです。体験は書きますが、助言はしません。読み方について(新しいタブで開きます) |
|---|---|
| 執筆にかかった稼働 | 入力と音声フィードバック 約30分・確認 約5分(前後編あわせて約1時間と約10分。数日に分けて書いた)/構成と下書き=編集部(AI を使用) |
| 反動 | 反動というより、書いている今がしんどい。今週は台風と雨で体調がかなり悪い方に傾いていて、四肢の痛み、強めの倦怠感、息切れが続いている中で書いた |
| AIの使用 | 素材の裏取り(出典の取得と数字の照合)、音声の文字起こしと下書き。取捨選択と文責は編集部 |
| 利益相反 | なし(番組・研究所・ベッドとマットレスのメーカー・ジムから、提供・報酬は受けていません) |
| 掲載範囲 | 編集長自身の記録です。通院先・薬・診断の中身は書いていません |
Sources
この記事が参照した一次情報です。番号は本文中の番号に対応します。参照した日を併記しています。
- 聞く健康習慣 Hana博士の体調最高ラジオ「在宅勤務で脚が10歳老化!?知られざるテレワークの健康リスクとその対処法【運動編03】ゲスト:甲斐裕子先生」(Spotify・2026-09-21 配信) /番組情報(Apple Podcasts)https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1822776290(新しいタブで開きます)
- InterFM「”聞く健康習慣 Hana博士のポッドキャスト”『体調最高ラジオ』とのコラボレーション」(新しいタブで開きます)
- 明治安田厚生事業団 体力医学研究所「研究者の紹介 甲斐裕子」(新しいタブで開きます)
- 明治安田厚生事業団 体力医学研究所『企業担当者のための 健康に配慮したテレワーク実践ガイド アクティブ・テレワークのすすめ』(2025年8月)p.6〜11・p.19(新しいタブで開きます)
- 明治安田厚生事業団 プレスリリース「高頻度のテレワークが体力低下につながる可能性!」(2025-12-10) /Watanabe Y, et al. J Occup Environ Med. 2026;68(2):109-114.(新しいタブで開きます)
- 明治安田厚生事業団 プレスリリース「在宅勤務で歩数が4,000歩減少、座位時間が70分増加」(2024-10-17) /Kitano N, et al. J Phys Act Health. 2024;21(11):1150-1157.(新しいタブで開きます)
- 厚生労働科学研究費補助金 令和6年度 分担研究報告書「テレワーカーの在宅・オフィス勤務環境の測定および介入プログラムによる環境改善効果の検証」(海塩渉ほか)p.64(新しいタブで開きます)
- Jones CJ, Rikli RE, Beam WC. A 30-s chair-stand test as a measure of lower body strength in community-residing older adults. Res Q Exerc Sport. 1999;70(2):113-9. PubMed PMID 10380242(新しいタブで開きます)
- 中谷敏昭ほか「日本人高齢者の下肢筋力を簡便に評価する30秒椅子立ち上がりテストの妥当性」体育学研究 47(5) 451-461, 2002(新しいタブで開きます)
- 日本健康運動研究所「[脚筋力]チェック・・・イス座り立ちテスト」(評価表は天理大学 中谷敏昭研究室より引用と記載)(新しいタブで開きます)
- NICE guideline NG206「Myalgic encephalomyelitis (or encephalopathy)/chronic fatigue syndrome: diagnosis and management」(2021-10-29)1.11.9・1.11.14(新しいタブで開きます)
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