特集|線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)と、働き方

Record暮らし 読了 9分

寝ながらパソコンで働いている。電動ベッドの角度で、使える時間が変わる

家にいる日は、電動ベッドの角度を1日4〜5回変えながら働いている。道具の置き方と、よかったこと、よくなかったこと、買って合わなかったもの。

頭側の背を少し起こした電動ベッドの足側が、昇降デスクの天板の下に入っている。デスクにはディスプレイが2枚。デスクの縁から長いアームがベッドの上へ伸びてノートパソコンを支え、別の細いアームがマイクを枕のほうへ向けている
イラスト|編集部(AI生成)
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Peopleこの記事の人

  • 岡田シンペイ

    線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR代表、AIネイティブ・エンジニア。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。

In 3 lines

  • 電動ベッドの背を、調子のいい午前と打ち合わせは62度、昼食のあとは20〜24度、横になりたい日は平らにして働いている。角度を変えるのは1日に4〜5回。
  • 体調の良い日なら1日8時間働けるが、仕事のほとんどを音声入力でこなせるようになったのが前提。キーボード中心なら机のほうが効率がいいかもしれない。
  • モニターアームへの投資、ベッドの動きで物を壊すこと、体を動かさなくなることが、よくなかったところ。AR グラスと大きなディスプレイは合わなかった。

家にいる日は、電動ベッドの上で仕事をしています。
背を62度まで起こして座る姿勢に近づける時間もあれば、平らに倒して仰向けのまま働く時間もあります。角度を変えるのは、1日に4〜5回です。

私は線維筋痛症と筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者です。椅子と机では長く持たず、体重をベッドに全部預けているほうが長く働けます。
ただ、それが成り立っているのは、仕事のほとんどを音声入力でこなせるようになったからです。道具の置き方と、よかったこと、よくなかったこと、買って合わなかったものを書きます。

角度は、1日に4〜5回変える

ベッドの頭と足の角度、高さは、有線のリモコンで変えます。ふだん使うのはリモコンです。
スマートフォンのアプリからも操作できて、角度が数字で出ます。よく使う形は、アプリのメモリーに2つ入れてあります。

電動ベッドのスマートフォンアプリの画面2枚。左はメモリーの画面で、いまの角度(頭24度・足30度・高さ44cm)の下に、メモリー1(頭0度・足0度)とメモリー2(頭62度・足7度)が並ぶ。右はコントローラーの画面で、連動・頭・足・高さの上下のボタンが並ぶ
アプリの画面。左がメモリー、右がボタンで動かす画面です画面|編集長のスマートフォン
よく使うベッドの形
形頭の角度使う場面
起こした姿勢(メモリー2)62度調子のいい午前、打ち合わせ
頭だけ少し上げる20〜24度昼食のあと、夕方
フルフラット(メモリー1)0度横になりたい日、昼過ぎに多い

体調が比較的いい日は、朝ベッドから降りて身支度をして、朝ごはんを食べてから戻ります。戻ったら背を完全に起こして、仕事を始めます。
昼食のあとは、かなり強い眠気が来ます。そこでベッドを倒して、頭だけ少し上げた姿勢で続けることが多いです。
それすらしんどい日は、フルフラットにします。昼過ぎに平らにすることは、けっこうあります。回復してきたら頭を起こし、場合によっては座る姿勢の近くまで戻します。夕方も同じで、その時々の体調で起こしたり倒したりします。
疲れた、もう横になりたい、と思ったら、素直に倒します。これを繰り返すと、1日に4〜5回になります。

道具の置き方

ノートパソコン(MacBook Pro)は、ベッドの横の机からモニターアームを連結して、長く伸ばしてきています。画面がちょうど目の高さに来て、キーボードにもそのまま手が届く位置です。
マイクは、パソコンのすぐ左です。Shure MV7i を、机の側からアームで伸ばして口元に置いています。

寝た位置から正面を見た図。アームに支えられたノートパソコンが目の高さに浮かび、左のすぐ近くにスポンジをかぶせた円筒形のマイク、右にアームで留めた小さなテンキーがある。手前にマットレスの縁
横になったまま見ると、画面は目の高さ、マイクは口元に来ますイラスト|編集部(AI生成)

本当に体調が悪くて、寝返りを打ちながら過ごすような日は、キーボードを打ちません。マイクをワイヤレスの小型マイク(Hollyland LARK MAX 2)に替え、受信機をパソコンにつけます。手元はエアマウスか、トラックボールの Relacon です。
この日はパソコンを少し遠くに置くこともあります。

フルフラットのときは、アームで伸ばしたパソコンでも少し遠く感じます。そういうときは、パソコンの画面を iPad に画面ミラーリングで映して、頭の上に置いた iPad で見ています。

平らにしたベッドの枕元から見た図。枕の上にアームでタブレットが下向きに傾けて吊られ、その下に別の細いアームで薄いキーボードが浮いている。マットレスの上、枕の横に小さなトラックボールが立っている
フルフラットのときは、頭の上の iPad で画面を見ますイラスト|編集部(AI生成)

ベッドの頭側からアームを伸ばすのには、マンフロット(Manfrotto)のオートポールを使っています。床と天井のあいだに立てる、強力な突っ張り棒のような柱です。壁に穴をあけずに立てられるので、賃貸の部屋でも使えます。
オートポールの柱の太さは、Ergotron のモニターアームを取り付けるポールの太さとほぼ同じです。なので、オートポールの柱からモニターアームを生やせます。
頭の上の iPad とキーボード、スマートフォンを留める MagSafe のスタンドは、この柱から伸ばしています。頭側に机を置かなくても済むので、とても便利です。

カメラは角度で使い分けています。起こした姿勢のときは、ディスプレイの上に載せたウェブカメラ(Insta360 Link 2 Pro)を使います。ほぼ寝ている姿勢のときは、MacBook の内蔵カメラです。

この仕事場を、AI に3Dの模型で作らせてみました。記事の中で、ベッドの角度を変えながら動かせます。

打ち合わせの間は、62度

打ち合わせの間は、背を62度まで起こして、ほぼ座っている姿勢にしています。

電動ベッドの背を、椅子の背のように急な角度まで起こしている。ベッドの足側は昇降デスクの天板の下に入り、デスクにはディスプレイが2枚、片方の上に小さな丸いウェブカメラ。デスクから伸びたアームのノートパソコンが起こした背の前に浮かび、マイクが枕のほうを向いている
打ち合わせのときは、背を62度まで起こしますイラスト|編集部(AI生成)
ベッドの上にいることは、相手には言っていません。画面の向こうからは分からないので、あえて言う必要はないと思っています。

働ける時間は、音声入力ありき

この形なら、体調の良い日は1日8時間働けます。フルタイムで働こうと思えば働けるのでは、という気がしています。
机だと、長い時間は持ちません。腕と首の重さを預ける場所がなく、椅子では下半身にもしんどさが出ます。全身の体重をベッドに預けているほうが、長く働けます。

ただ、机で働いていたころはキーボード入力が中心で、音声入力は今ほど使っていませんでした。
いまは AI との対話を音声で済ませられるようになり、ほとんどの操作を話すだけでできます。だから、ほぼ寝た姿勢でも仕事が回るようになりました。
もし音声入力が使えなかったら、机のほうが効率がいいかもしれません。私の寝ながら働く形は、音声入力が前提です。

よかったところ

目と首は、画面の位置さえ負担のないところに決めれば、それほど苦しくありません。アームのおかげで、姿勢に合わせて画面を動かせます。
背を62度まで起こして働く時間は、机で働いていたころと比べても見劣りしません。椅子に座るより負担は少なく感じます。

よくなかったところ

アームがないと成り立たない

寝たまま画面やマイクを目と口の前に持ってくるには、モニターアームが何本も要ります。機材への投資は、かなりかかりました。
私は、オークションやフリマアプリで Ergotron のアームが安く出ているのを見つけては買う、ということを繰り返してきました。いまはベッドの周りにたくさんのアームがついています。アームがなければ、この形は作れません。始めるときの出費は大きいと思います。

枕のあるベッドの横から、長い関節つきのアームが伸び、先のトレーにノートパソコンが留められてマットレスの上に浮いている。トレーの横には小さなテンキー、奥には別のアームでマイクが枕のほうへ向いている
ノートパソコンもマイクも、アームで宙に浮かせていますイラスト|編集部(AI生成)

ベッドの動きに、物を巻き込む

電動ベッドは、背が上がり、高さが変わります。その動きを邪魔しないように、家具とアームの位置をかなり細かく組み合わせないと、ベッドが何かに当たって壊れます。
特に危ないのは、高さを下げたときです。ベッドの下に置いていた物を、何度も壊しました。プラスチックのケースは、ベッドの重さで簡単に割れます。ベッドの下に物を入れるときは、よく気をつけたほうがいいです。

ベッドを汚さない工夫が要る

食事は、なるべくベッドの上でとらないようにしています。飲み物くらいです。
それでも、飲み物をこぼしたことは何度もあります。ベッドの上で仕事をするなら、汚さないための工夫も要ります。

体を動かさなくなる

アームで物を最適な位置に置くと、体を動かすとそれに当たるので、自然と動かなくなります。
なので、1時間に1回は立ち上がる、ベッドの角度を変える、と意識して体を動かすようにしています。意識しないと、運動不足のリスクはかなり上がると思います。テレワークの実践ガイドにも、ソファやベッドでのパソコン作業は腰痛の原因になるとあります1。

買って、合わなかったもの

AR グラス(XREAL Air 2 Pro)

眼鏡のようにかけると、目の前に画面が映る機器です。寝たままでも作業できるのでは、と期待して導入しました。
画面は大きく見えますし、体の周りに置く機器をかなり減らせる良さもあります。ただ、慣れが要りますし、慣れても目がかなり疲れました。見え方も、肉眼でディスプレイを見るほうが楽です。
最新の機種は分かりませんが、私が使った Air 2 Pro の世代では、仕事で使うところまでいきませんでした。

頭の近くの大きなディスプレイ

ベッドの周りに、LG の縦に長い 16:18 のディスプレイ(DualUp 28MQ)を置いてみたこともあります。
頭の近くに大きな画面があると、圧迫感が強く、大きく見えても快適にはなりませんでした。

仕事の中身が変わったことも大きいです。以前は、PDF の指示書を見ながら HTML を書き、確認用のブラウザも開いて、複数のモニターで進めていました。
いまはコーディングや、実装されているかの確認の多くを AI に任せられるようになりました。寝ている私の周りに大きな画面を並べる意味は、あまりなくなりました。
背を起こして働くときは、今でも複数のモニターを見ながら作業します。それはそれで便利です。ただ、寝ながら楽に働くには、画面は少ないほうがいいと思っています。地震のこともあるので、重くて大きいものを頭の近くに置くのは避けています。

反動

ベッドで長く働いた日は、足腰、下半身に悪い影響がありそうだと感じています。
体をあまり動かさず、姿勢も寝ている状態に近いので、体力的には楽です。そのぶん運動不足になり、血のめぐりが少し悪くなっている気がします。

そもそも、寝た姿勢で長く働くのは、体調があまりよくない日です。その状態で無理に働きすぎると、反動は出ると思います。
背を62度まで起こして働く日は、机で働いていたころと変わらず、椅子に座るより負担も少ないので、反動も比較的少ないと感じています。

よく聞かれること

  • 寝ながらパソコンで仕事をするのは、体に悪くないですか
    テレワークの実践ガイドには「ソファ、ベッド、こたつ等でのパソコン作業は腰痛の原因になります」とあります。私にも腰痛はあり、マットレスを替えて変わった経緯を別の記事に書きました。長く寝た姿勢で働いた日は、下半身の血のめぐりが悪くなる気もします。1時間に1回は立ち上がるようにしています。
  • どんな道具を使っていますか
    電動ベッド、ベッドの横の机から伸ばしたモニターアームとノートパソコン、アームで口元に置いたマイク(Shure MV7i)です。体調が悪い日は、ワイヤレスマイクとトラックボール(Relacon)にします。どれも自分で買ったもので、メーカーからの提供や報酬はありません。
  • ベッドで打ち合わせに出て、相手に分かりますか
    打ち合わせの間は背を62度まで起こして、ほぼ座った姿勢にしています。画面の向こうからは分からないので、相手には言っていません。
  • 寝たままでも、1日にどれくらい働けますか
    私の場合、体調の良い日で1日8時間です。ただ、これは仕事のほとんどを音声入力でこなせるようになってからの話です。キーボードが中心だったら、机のほうが効率がいいかもしれません。

この記事について

この記事について(稼働・反動・AI の使用・掲載範囲)
読み方これは一人の記録です。同じ病名でも、同じ条件でも、別の結果になります。それでも書くのは、一人ぶんの具体が積み重なることに値打ちがあると考えているからです。体験は書きますが、助言はしません。読み方について(新しいタブで開きます)
執筆にかかった稼働口述 約20分・確認 約10分(あわせて約30分)/構成と下書き=編集部(AI を使用)
反動ほぼなし
AIの使用口述の文字起こしと下書き。取捨選択と文責は編集部
利益相反なし(ベッド・マイク・アーム・ポール・トラックボール・AR グラス・ディスプレイのメーカーから、提供・報酬は受けていません)
掲載範囲編集長自身の記録です。通院先・薬・診断の中身は書いていません

Sources

この記事が参照した一次情報です。番号は本文中の番号に対応します。参照した日を併記しています。

  1. 明治安田厚生事業団 体力医学研究所『企業担当者のための 健康に配慮したテレワーク実践ガイド アクティブ・テレワークのすすめ』(2025年8月)p.10〜11(新しいタブで開きます)www.my-zaidan.or.jp参照 2026-09-23

記事にしない短い記録と、新しい記事のお知らせを、X(@naminoma_jp)に置いています。

Authorこの記事を書いた人

岡田シンペイ

線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR代表、AIネイティブ・エンジニア。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。

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