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- 岡田シンペイ
線維筋痛症・慢性疲労症候群(ME/CFS)の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR代表、AIネイティブ・エンジニア。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。
私は、線維筋痛症と慢性疲労症候群(ME/CFS)とともに働いています。この記事では、その中で得た知見や、取り組んでいることを紹介します。
In 3 lines
- 減ったのは、返さなきゃという気持ちの負担と、カレンダーを開いて日を選ぶ手間。判断の数そのものも減った。
- 初日に3回直した。送信の検知の穴、了承メールの見落とし、通数の不一致で止まった件。見ていない時間に同じことが起きたら、そのまま進んでいた。
- メール本文は AI に読まれている。メールでは明示せず、面談の場で AI の使い方と、人がやっている範囲を伝えている。
前編では、30分に一度 AI(Claude Code(新しいタブで開きます))が受信箱を見に行き、返事の下書きと日程の仮押さえまでを用意する仕組みを作った話を書きました。送る機能は持たせていないこと、金額や契約の返事は下書きを書かせていないことも、前編にあります。
この回は、それで何が変わったかです。 前編を読んでいなくても、ここだけで読めます。
頭の外に置く、ということ
一番変わったのは、「返さないといけないもの」を、頭の中で抱えなくなったことです。
私は、午前中に打ち合わせをした日は、それだけで体力を使い切ってしまい、午後は横になっていることが多いです。打ち合わせのない日なら、電動ベッドを起こして午後も作業していることが多いです。ただ、打ち合わせのあとに体調の悪さが重なると、少し横になるだけでは足りず、夕方まで寝てしまいます。
そういう日でも、受信箱は30分ごとに見られていて、返事が要るものには下書きが用意されていて、日程の候補はもう選ばれている。
起きたときに私がすることは、下書きを読んで送るか、今日は送らないと決めるか、のどちらかです。
当日に返せれば理想ですが、翌日や翌々日になることもあります。下書きは待っていてくれます。私が送らない日は、送られません。それだけです。
「どこが空いていたっけ」と考えなくていいのも、思ったより大きいことでした。
カレンダーに予定さえきちんと入れておけば、わざわざ見に行かなくても、日程の調整はある程度任せられます。私が見るのは、選ばれた日でいいかどうかだけです。
メールを返さなきゃ、という気持ちの負担が減りました。カレンダーを開いて、前後を見て、日を選ぶという、手を動かす負担も減りました。
私にとって、何かを判断することは RPG の MP を使うのに近いものです。頭を使う仕事でも、あとから疲れの反動が出ます(労作後倦怠感(PEM)(新しいタブで開きます))。この仕組みで減ったのは、その小さな判断の数でもありました。
できなかったこと、初日に直したこと
動かし始めた初日に、3回直しました。
1回目。私が下書きを送ったのに、カレンダーの【仮】が外れませんでした。
私が送ったのが14時50分で、Claude Code が【仮】を置いたのが15時4分。「仮を置いたあとの送信」だけを探していたので、先に送った分を取りこぼしていました。前日ぶんまで遡って探すように直しました。
2回目。相手から「その日でお願いします、URLはこちら」という了承の返事が来たのに、Claude Code はそれを「返信不要」と分類して、予定を確定にする操作を飛ばしました。返事が要らないメールにも、やることはある。そう手順に書き足しました。
3回目。営業メールをまとめて別の箱へ移す途中で、移した通数が1通合わず、安全側に止まりました。元のメールは消えていなかったので、写しを1通ずつ突き合わせてから片付け直しました。止まってくれたのは、正しい振る舞いでした。
どれも、私が横で見ていたから直せました。
人が見ていない時間に同じことが起きたら、そのまま進んでいたと思います。仕組みは、見ていなくても動きますが、育つのは見ているときだけです。
書いておかないといけないこと
届いたメールの本文は、AIのモデルに送られて、読まれています。
下書きを書くために、相手が書いた文章と、私が過去に書いた文章を、AIが読んでいる。これは事実なので、隠さずに書いておきます。
そのうえで、決めていることがあります。
パスワードや機密情報は、AIのやり取りの記録が残る場所には置かない。これをルールにして運用しています。
もう一つは、どのモデルで動かすかです。
無料で使えるモデルにこれをやらせるなら、入れたものはすべて学習に使われると考えておくべきだと、私は思っています。この仕組みは、有料の契約をしているモデルで動かしています。
ただ、有料なら安心、というわけでもありません。入れたものが学習に使われるかどうかは、使うプラットフォームの規約と設定で決まります。そこは、動かす前によく確かめたいところだと、私は思っています。
相手に、どう伝えているか
AI が下書きを書いていることを、相手にどう伝えるか。これは、すごく難しい話だと思っています。
AI でメールを書くことは、もうかなり当たり前になってきています。そのなかで、あえてそれを明示するとしたら、どうするか。署名に毎回入れるのか。「AI を使っていますが、学習には使われていません」と書くのか。書いたことが、かえって藪蛇になりかねません。受け取った側に「この会社は AI を使っているから、こちらも何か対応しないと」という手間をかけさせることにもなります。
かといって、「自社から送ったメールを AI に読まれるのは困る」と言われたときに、その会社だけ特別な対応ができるかというと、そうもいかない。結局は、言うか言わないかだけの話になってしまいます。
突き詰めると、手書きの手紙がいいのか、ワープロで打った文章がいいのか、という話に近い気もしています。道具を使うことが悪いのか良いのかではなく、その先のリスクと利点まで考えていくと、簡単には答えが出ません。

なので、私はクライアントへのメールの中では、直接それを伝えてはいません。
その代わり、面談や雑談の場で、自社で AI をどう使っているかを、なるべく伝えるようにしています。調べものに使っている、文章を書くのに使っている、メールの下書きにも使っている。明文化したポリシーではありませんが、運用の様子は積極的に話しています。
いまのところ、それで拒まれたことはありません。どちらかというと「そこまでできていて羨ましい」と言われたり、自社でもそういう使い方をしたい、と相談を受けたりすることのほうが多いです。
そのとき、AI でできる範囲と一緒に、まだ人の手が要るから人がやっている範囲も、必ず伝えています。
出てきたものの責任は私にある、ということをはっきりさせるためでもあり、人の手が通った仕事だと伝えるためでもあります。
残ったのは、読むことと、送ること
打ち合わせのあとの仕事を渡した話は、前に書きました。
あのときと、残ったものは同じです。
届いたものを読むこと。出てきたものを直すこと。そして、送ると決めること。
返事を書く力が無くなったわけではありません。返事を抱えている時間を、頭の外に置けるようになった、というだけの話です。
前編はこちらです。
この記事について
| 読み方 | これは少数の実例から組み立てた方法です。一般に当てはまる手順ではありません。それでも書くのは、実際にやった記録が積み重なることに値打ちがあると考えているからです。やったことは書きますが、助言はしません。読み方について(新しいタブで開きます) |
|---|---|
| 執筆にかかった稼働 | 前編・後編あわせて。仕組みを足す作業は、手を動かした時間で約1時間(その日のうちに、意図どおり動くかを追いかけて確認した時間は別)。記事は対話の記録からの下書きに、音声で2回フィードバックを返した |
| 反動 | 仕組みを作ったこと自体の反動は、あまり感じていない。ただ、作った日は前日の外出(打ち合わせ・展示会・交流会)の反動で朝からかなりしんどく、動作を確かめたあと夕方まで寝た。翌日も手の痛み、体の重さとだるさ、腰の痛みがあり、下半身が重く、立っているだけで足が痛む。これも外出の反動が残っていると感じている(本人確認 2026-09-17) |
| AIの使用 | 対話の記録と音声でのフィードバックからの下書き。取捨選択と文責は編集部。この記事で扱った「メールを読んで下書きを書く仕組み」も AI(Claude)で動いている |
| 掲載範囲 | 家族は登場しません。メールの相手(交流会で会った方・取引先)は、社名も個人名も内容も書いていません |
記事にしない短い記録と、新しい記事のお知らせを、X(@naminoma_jp)に置いています。
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