特集|線維筋痛症・ME/CFS と、働き方

Case記録 読了 4分

溜まらなくなったのは仕事で、残ったのは判断だった(前編)

メール1本に1時間かかり、溜めて、徹夜して、ダウンする。その繰り返しが止まるまでの記録。

低いテーブルの上に、閉じたノートパソコンと、開封されていない封筒の束が置かれている線画。束のうち1通だけが淡いティール
イラスト|編集部(AI生成)
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Peopleこの記事の人

  • 岡田慎平

    線維筋痛症・ME/CFS の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR 代表社員。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。

In 3 lines

  • メール1本に、調べて、見積もって、提案までしていた。午前が終わる日もあった。
  • 重い日はそこで止まる。溜めて、徹夜して、ダウンして、また溜まるを繰り返した。
  • 先にセーブを覚え、そのあと5分で終わる仕事まで Claude Code を通した。

私は線維筋痛症(新しいタブで開きます)当事者(新しいタブで開きます)で、ウェブ制作の受託をしています。これは、働くと決めた私が、働き方をどう組み直したかの記録です。働かないという選択も、働くという選択と同じだけまっとうなものだと思っています。誰かに勧めるつもりで書いてはいません。

メール1本の中身

朝、お客さまからメールが届きます。これについて対応をお願いします。これはどうしたらいいと思いますか。見積もりをください。

従来のやり方だと、まずサイトの状態を確認しに行って、何をしないといけないのかを洗い出し、どう直すかの計画を頭の中で立てて、それなら工数はこれくらいだと計算しながら、返信の文面を書きます。

メール1本のはずが、調べて、見積もって、提案までしています。軽いものなら数分で返せますが、お金が絡むものになると30分、1時間かかることがあります。午前中に返信を3本考えていると、それだけで午前が終わります。10時からの打ち合わせが入りやすく、終わる頃には課題とやることが増えていて、その間にまた追加のメールが届いています。午後の空いた時間で、受託案件の実装や企画、自社サイトのこと。そうしているとまた打ち合わせが入り、夕方になります。

症状が重い日に起きていたこと

線維筋痛症の症状が重く、倦怠感も痛みもひどい日は、ここが止まります。メールが返せない。そもそも読めない。頭も働いていないので、いい提案も難しい。元気なときなら5分で返せるメールを書き終えるのに、平気で1時間かかります。次に何と言おうか、この画面も確認しないといけない、前回の見積もりはいくらで出していたか。この複合的な作業を体調がしんどいときにやるのは、とても負荷が高いことでした。

会社員として普通に働くことは、実はすごいことをやっているのだと、最近あらためて思います。その場で臨機応変に判断して、お客さまに失礼のないように、売上にもつながるようにと考えながら、社内外と調整して進めていく。元気なときは当たり前にできても、元気でないとできません。

打ち合わせだけは出ようと無理をして、終わったら動けない。2時間の打ち合わせで午前を終えたら、午後は4時ごろまで寝ている。体を使っていなくても打ち合わせは精神的に疲れますし、お客さまにつらい顔を見せるわけにもいかないので、反動が大きくなります。

そうすると、1日にできた仕事が打ち合わせだけ、ということになります。未消化のタスクがずっと頭に積んである状態なので、忘れられません。やらないといけない気持ちだけはあるのに、体が動かない。2日経った、3日経った、1週間と言ったのに間に合わない。本当にまずいとなったら、夜中に徹夜します。そうするとまた疲弊するので、片づけたあとにダウンして、動けない日が2、3日続く。またたまる。徹夜する。ダウンする。

地獄みたいですよね。

起こした状態の電動ベッドと、その脇の小さなテーブルに開いたノートパソコンとマグカップが置かれている線画。窓の外は明るい
ベッドから出ないまま、仕事だけが手元にあるイラスト|編集部(AI生成)

AIの前に、セーブすることを覚えた

そういうことが起きないように、1日に働く時間をセーブする、最低限メールの対応だけはやる、というようにルール化してきました。山と谷がジェットコースターのように起きないよう長いこと調整し続けて、セーブする力というか、頑張りすぎないことを覚えた。これがAIの活用の前段階としてあります。

順番が逆だったら、たぶん今の形にはなっていません。

5分で終わる仕事も、Claude Code を通す

いまは Claude Code(新しいタブで開きます)Orca(新しいタブで開きます) でいろいろなことを自動化し、並列に処理させられるようになりました。そこに至るまでには、小さいタスクから大きいタスクまで、5分で終わる仕事でも全部 Claude Code を通す、ということを積み上げてきました。

その結果、メールの返信は下書きを作ってくれるところまで来ましたし、提案書も自動で作れるようになりました。ウェブの修正も、指示をして、出来上がったものをチェックしてOKと言えば進みます。間違っていれば直せばよくて、その指示も音声入力(新しいタブで開きます)で済むようになりました。

ボールを持っている時間

夜寝ている間に一通りお願いしておいて、朝起きたらできている。下書きを確認して送るだけ。その次元まで来ると、積んであるタスクの量が、すごく少なくなります。受託案件もあらかた終わっていて、お客さまの確認待ちの時間のほうが長い。こちらがボールを持っている時間が、圧倒的に少なくなりました。

だから、体調がしんどい日に「今日は寝てしまおう」と判断できます。お客さまに悪いな、仕事を待たせているな、という罪悪感なしに決められる。寝ながら2時間だけ働く、午前だけやって午後は休む、外出先からリモートで操作する、という形も取れます。

ここまでが「手を動かす負荷は移せた」という話です。後編では、それでも残ったもの(新しいタブで開きます)——判断の負荷について書きます。


この記事について

執筆にかかった稼働約30分(公開後の確認まで)
反動ほとんど感じていない。ほぼ一人で完結する内容のため。音声入力でたくさん話したぶん、少し疲れた感覚はあった
AIの使用音声入力の文字起こしと下書き。校正AIが書き換えたテキストではなく、認識された生のテキストを素材にし、既知の誤変換だけを辞書で機械的に直しています。取捨選択と文責は編集部

Authorこの記事を書いた人

岡田慎平

線維筋痛症・ME/CFS の当事者。WEB制作会社 合同会社LOFIR 代表社員。体調に波がある人の働き方を設計し、記録している。

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